フィクション(作品試し読みなど)

サイトのみで発表する新作はこのカテゴリです。
新刊発売記念企画や作品の試し読みもこちらです。
「試し読みのもくじがほしいなあ」とお思いのかたは、お手数ですが「作品一覧」ページへ飛んでくださいませ。
サイト外掲載情報:
『5まで数える』収録短編「やつはアル・クシガイだ――疑似科学バスターズ」は筑摩書房公式サイトにて全文試し読みができます。
『小説すばる』(集英社)2017年6月号掲載の短編「惑星Xの憂鬱」が集英社公式サイトにて冒頭試し読みできます。

『嘘つき就職相談員とヘンクツ理系女子』(角川文庫)特設ページ

『嘘つき就職相談員とヘンクツ理系女子』(角川文庫)カバー

作成日:2018/03/01 最終更新日:2018/04/06 かいたひと:松崎有理

『嘘つき就職相談員とヘンクツ理系女子』(角川文庫)が2018/02/24に発売となりました。『就職相談員蛇足軒の生活と意見』(2014)の文庫化です。
このページでは、本書ご購入まえの検討材料となりそうなものを随時、あげてまいります。

続きを読む

研究者心理におけるパーキンソンの法則—締切の延長にともない仕事量が増加することの数学的証明【架空論文】

作成日:2017/11/30 最終更新日:2018/02/14 かいたひと:ユーリー小松崎(蛸足大学文学研究科メタ研究心理学教室)

続きを読む

「ぽにい」冒頭部分試し読み(『蛇足軒』第四話)

作成日:2017/09/20 最終更新日:2017/09/26 かいたひと:松崎有理

 るるるるるる。るるるるるるる。るるるるるるる。
 無人の部屋で電話が鳴る。
 るるるるるる。るるるるるるる。がちゃ。
 呼び出し音はついに切れて、機械音声が応答をはじめた。「ただいま留守にしております。ご用件をどうぞ」
「えええ、朝からすまんね」二度ほど、咳払い。老いた男の声はつづく。「ああ。シーノくん、いないのかい。ええ、こないだの話のつづきだよ、いい話。うん、あのね。ひょっとしたらきみに、ホラホラ属分類の研究職を紹介できるかもしれないんだ。えええ、それでね」
 ぴーーーーーーーー。
 録音可能時間は無情な電子音とともに終了した。
 室内はふたたび無音になった。ついさきほどまで暖房されていた空気がじょじょに冷えていく。
 窓の外では雪片が舞っている。北の街は真冬をむかえた。

続きを読む

「三秒の壁」冒頭部分試し読み(『蛇足軒』第三話)

作成日:2017/09/19 最終更新日:2017/09/25 かいたひと:松崎有理

 るるるるるる。るるるるるるる。るるるるるるる。
 出勤前のシーノは、たんすから出したばかりの外套を腕にかけたまま、はい、といって自室の電話の受話器をとった。ききおぼえのある声、いや忘れもしない声が響いてきた。
「シーノくんかい」
 そうだ、忘れもしない。忘れるわけがない、この男。

続きを読む

「懇切、ていねい、秘密厳守」冒頭部分試し読み(『蛇足軒』第一話)

作成日:2017/09/18 最終更新日:2017/09/20 かいたひと:松崎有理

 二十七歳、女、無職。
 じぶんを冷静に評価分類するとシーノはため息がでてしまう。
 もちろん無職なんかじゃないといいはることもできる。じぶんはこの春、蛸足大学理学研究科生物分類学分野で博士号をとり、いまはそこで研究員をしているのだと。
 だが、と彼女はまたため息をつく。研究員とは名ばかりだ。だって無給なのだから。
 実質、無職と変わらない。
 ああ無職。いやなひびきだ。世間さまから石をなげられ、うしろ指を差されるにじゅうぶんな称号だ。きちんと職をもち納税しているひとたちからの架空の怒号がきこえる。社会のお荷物。無為徒食。ごくつぶし。税金泥棒。
 あああ。

続きを読む

「裸の経済学者」冒頭部分試し読み(『代書屋ミクラ』収録)

作成日:2017/09/11 最終更新日:2017/09/18 かいたひと:松崎有理

あんぱんアイコン

 なんだ、これは。
 そのあんぱんをひとくちかじってぼくは驚愕した。
 あわててのこりを二分割し、右手に持った片方を目の高さより上にもちあげてみる。割った部分からのぞく小豆餡は、晩秋の午後の淡い日差しに透けてうすいむらさき色にみえた。
 はんぶんになったあんぱんをみつめて黙考する。究極、ということばがふと思い浮かんだ。究極の問い、究極の解法、そして究極の答え。究極の芸術品や究極の酒、究極の料理なんてものもあるだろう。
 もしもあんぱんの世界に究極が存在するのなら。

続きを読む

「ぼくのおじさん」冒頭部分試し読み(『代書屋ミクラ』収録)

作成日:2017/09/11 最終更新日:2017/09/17 かいたひと:松崎有理

蛸アイコン

 特急に乗ったつもりがじつは急行だった、と気づいたのは、すでに旅程を半分もすぎたころだった。疲れのためか座席で熟睡していたので、じぶんの乗る列車がむやみにたくさんの駅で停車していることにまったく気づかなかった。

続きを読む