『シュレーディンガーの少女』特設ページ

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作成日:2022/12/10 最終更新日:2024/02/10 かいたひと:松崎有理

本書にかんする情報はこのページに集約させています。
今後もコンテンツを増やしていきます。
東京創元社公式サイトもごらんください。

【もくじ】
重版情報など
本書の売りポイント
収録作品の紹介(試し読みあり)
基本情報
書評など
読者さまからの感想
おまけ

重版情報など

重版決定

重版(二回目)決定

重版(三回目)決定

韓国での出版決定

『SFが読みたい!2024』ランクイン

本書の売りポイント

三年かけた自信作

前作『イヴの末裔たちの明日』(2019年11月)から三年。一作一作書き継いで、ようやく本のかたちにまとまりました。
一冊の本にこれほど時間をかけたのははじめてです。とくに推敲は執念ぶかくやりましたよ。

初の文庫オリジナル短篇集

おかげで、お求めやすいお値段でご提供できます。税込定価946円です。

初の「著者あとがき」つき(+自作解説)

あとがきを書くのもはじめてでございます。
東京創元社公式サイトで全文公開されています。各作品を著者みずから解説していますので、ご購入の検討にご利用ください。あ、ネタバレはていねいに避けておりますのでご安心を。

表紙がカワイイ

イラスト担当は佐藤おどりさん。キュートな絵柄なのに本書の不穏な雰囲気をよく表現してくださっています。
デザイン担当は西村弘美さん。未来感あふれる題字がすてきです。

紹介文がかっこいい

東京創元社公式サイトの本書紹介ページ。
かぎられた文字数で本書の内容を過不足なく説明しています。あんまりかっこいいので全文引用しますね。

すべての65歳に例外なく、プログラムされた死が訪れる世界。肥満者たちをテレビスタジオに集め、公開デスゲームを開催する健康至上主義社会。あらゆる数学を市民に禁じ、違反者を捕らえては刑に処している王国。はたまた日々の食卓から、秋刀魚が消え失せてしまった未来──様々なディストピア世界でたくましく生きのびる女性たちを描いた、コミカルでちょっぴりダークな短編集。

主人公は全員女性

これもはじめての試み。これまで松崎の作品は男性主人公が多かったので。
くわしい経緯は東京創元社公式サイトで公開中の「著者あとがき」に書いています。

収録作品の紹介(試し読みあり)

もくじ順に紹介いたします。

①六十五歳デス

六十五歳デス

「かっこいいおばあちゃんを描きたい」という長年の野望がようやく結実した作品。


六十五歳でかならず死ぬと運命づけられた世界。
六十四歳になった主人公は、自分とどこか似た少女と出会ってしまう。少女はまだ幼く、しかも孤児だ。

現在、期間限定全文無料公開中です。

②太っていたらだめですか?

太っていたらだめですか?

「痩せたくないひとは読まないでください。」改題。初のデスゲームものです。


健康がなにより優先される社会。主人公(27歳OL、専門職)は体重過多を理由に解雇された。そんなとき肥満者たちを集めた公開デスゲームの開催が決定、主人公はその参加者に選ばれた。優勝者には目もくらむ高額賞金が与えられるが、敗者は死なねばならない。

③異世界数学

異世界数学

「数学ぎらいの女子高生が異世界にきたら危険人物あつかいです」改題。初の異世界もの。なお、スタートの舞台は水戸市になっています。


主人公は数学が大嫌いな女子高生。数学を呪うことばを口にしたとたん、数学が禁止された世界へ飛ばされる。暗記した「解の公式」を使っただけで逮捕され、死刑を言い渡されてしまう。

④秋刀魚、苦いかしょっぱいか

秋刀魚、苦いかしょっぱいか

SFプロトタイピング作品。50年後の地球環境がテーマ。


クルマが空を飛ぶ未来。AIがなんでも助けてくれるが、宿題だけは手伝ってくれない。小学生の主人公は夏休みの自由研究のテーマを探すうち、サンマという謎の魚を知る。なにそれ、きいたことないんだけど。

⑤ペンローズの乙女

ペンローズの乙女

「地球外生命探査」+「生贄」+「あともうひとつ何か」の物語。ロジャー・ペンローズ本人は出てきませんが、乙女は出てきます。


嵐の海に落ちた少年を助けたのは絶世の美少女。だが彼女の住むこの孤島には生贄風習があるらしい。島はこんなにものどかで、島民たちはみな優しいのに。

こちらも期間限定全文無料公開中

⑥シュレーディンガーの少女

シュレーディンガーの少女

表題作。本書の締めにふさわしい作品を書き下ろしたつもりです。


「あなた」は友人の物理学者から奇妙な実験への参加を頼まれる。「あなた」は観測者となり、渋谷のビルに立てこもるふたりの少女を観測する。ふたりにせまる危険と、実験の本質とは。なぜこの小説は二人称なのか。

基本情報

書評など

  • 書評家の牧眞司さんが『web本の雑誌』で紹介してくださいました。(2022/12/20公開)

    巻頭の「六十五歳デス」(中略)正調ハードボイルド小説らしく登場人物がやたらと煙草を吸うのだが、実はそれもディストピア設定とかかわっている。

    (強調は松崎による)

  • 大野典宏さんが書評してくださいました。「数理系の小ネタに満ちた奇想思考実験小説集」(2022/12/25公開)

    本書の全体を通じて言えることだが、それぞれの話が「トワイライト・ゾーン」のようなオムニバスドラマの一話として採用されても十分に耐えうるのではないかとも感じた。『皮肉と教訓に満ちた印象に残る作品集』。これを最大の賛辞として著者に捧げたい。
     著者である松崎有理さんの作品は、いつも「こうきたかー!」という驚きに満ちているのだが、本書も間違いなく意外性を楽しめる奇想小説集である。

    (強調は松崎による)

  • 書評家の石井千湖さんが『週刊新潮』で紹介してくださいました。なんと「ディストピアの女王」マーガレット・アトウッド大先生とならべてくださっています。ああなんとおそれおおい。(2023/01/05公開確認)

    ディストピア小説が面白いのは、作中の暗黒世界が別の角度から見れば一種の理想を実現した社会になっているところだろう。たとえば「六十五歳デス」。全人類が六十五歳の誕生日前後に死ぬようプログラムされている世界の話だ。みんなの死期があらかじめ決まっているのは、平等と言える。死の瞬間に苦痛もない。しかし、死の平等と安楽だけで人は救われないことが浮き彫りになるのだ。

  • 老舗SFファンサイト、「アニマ・ソラリス」にインタビューしていただきました。
    ネタバレ全開ですので未読の方はご注意を。(2023/01/05公開)

    「ペンローズの乙女」(中略)生け贄の島の島民に助けられた少年と、フェルミパラドクスが**の淵で出逢うとき何が起こるかという。フレドリック・ブラウンも思いつかないかけ離れたお題の三題噺がこうも美しい短編に結実しようとは。

    (強調は松崎による)

  • 南日本新聞2023年1月21日朝刊に書評が掲載されました。評者は峯苫幸多さんです。
    峯苫幸多さん書評

    クリックで拡大します。
    たぶん「秋刀魚」に鹿児島名物あくまきが登場したのがポイントかと。

読者さまからの感想

発信者から承諾を得たもののみ掲載しています。


作品にエピグラフをつけるのが好きで、毎回どれにしようかと悩みつつ厳選しております。注目していただけるとありがたいです。

コキカゲ@写真垢・読書垢さんのご感想は「返信」のかたちで続きます。Twitterに飛ばないと全文を読めないので、テキストだけ抽出してつなげますね。

松崎有理 「シュレーディンガーの少女」2022。ディストピア×ガールというテーマに惹かれて手にとった初読みSF作家の短編集。
お気に入りは「六十五歳デス」。65歳前後で死んでしまうよう定められた世界で裏稼業を生業に生きる64歳の老女紫と、彼女が拾った少女との絆がほろりとさせられる。この紫がファッションや生きざま、言動どれをとっても渋くてかっこいい。近未来のトーキヨーのスラム街が舞台だけど、彼女の背中を見て、拾われた少女は生きてくのよね。この一作だけで十分最高な読書体験。
もう一つ印象深かったのが「異世界数学」。描かれた高校が自分の母校そのもので、作者プロフを確認したら同郷。暗記の数学のせいで数学嫌いの女子高生が主人公で、その背景も理由もすごく納得した。彼女は現代から数学が禁じられた異世界に飛んでしまってそこで数学好きの人たちに助けられながら数学のおもしろさに目覚めていくんだけど、数学好きな人ならおもしろいと思えるだろうエピも盛り込まれてる。残念ながら自分は読んでも途中で出てくる証明問題とか理解できないし、やっぱり数学は苦手なまま。とはいえ数学の本当のおもしろさに出会えた主人公の最後の選択もまた物語的カタルシスのあるもので、面白い設定と王道の展開とで、こんな小説もあるのかと新鮮だった。ちょっと彼女がうらやましかったな。

(改行と強調は松崎による)

つぎのご感想は松崎TwitterアカウントにDMで寄せられたものです。(2023/01/14)

「太っていたらだめですか?」のナガラグイ氏は、私も好きです。殺されるよりも価値のあることを見つけて実現した彼は格好いいし羨ましいです。禁じられた世界で数学を諦めない人たちも、自分の役割をつとめあげる乙女たちも、皆、前向きで凛々しくて眩しい。秋刀魚の物語は子供の頃に夢見た未来の世界のテクノロジーが詰まっていて楽しかったです。
少し毒があって、でも前向きに終わる物語、どれも、とても素敵でした。これからも沢山の物語を読ませていただければ、嬉しいです。

理論物理学者、高梨宇宙(たかなし・たかおき)さんよりメールでご感想をいただきました。(2023/01/20)

「シュレーディンガーの少女」読了いたしました。
「秋刀魚(さんま)、苦いかしょっぱいか」。現実の素材と人間の知識を融合して秋刀魚の味を「再構成」してみせるというテーマは楽しかったです。ぼくはCTで得られる断層画像は、投影画像群という「素材」とランベルト・ベール則などなどの物理学の「知識」を融合した一種のCGと考えていまして、なおさらでした。
あとお気に入りは「シュレーディンガーの少女」と「ペンローズの乙女」。膨大な時間や膨大な多世界を軽やかに行き来する感覚。しかも読む側は軽妙な筆致で楽しめて、「異世界数学」は改稿が大変だったということですが、同様に読む側の感じる軽やかさに反比例して書くのは大変だろうな、と。
SFって、読者として「まず一般相対論と量子力学は必須」で、「さらに量子重力理論の最近の動向も知ってることが望ましい」みたいな、自分が学生の頃から既にかなりハードになっているなー、と感じて、実はちょっと敬遠していました。。(人間、家に帰ってからも同じような世界にいたくない日もありますから、、)
でも松崎さんの筆致では、サイエンスの内容はちゃんとハードなのに、その重さが無くて(感じさせないようになっていて)、とても軽やかなんです。
これってまず深い理解があってこそ、だなって、ちょっと朝永振一郎の「光子の裁判」を思い出しまして(こちらのお話は感情移入が難しいですけど)、こういう軽やかさは、やっぱり借り物のワードや考え方では決して不可能だな、と思いました。

(強調は松崎による)

おまけ

フォロワーさま限定・電書プレゼント(終了しました)

電書プレゼント
注意:この募集は終了しております。でも今後もフォロワーさま限定プレゼント企画は行います。

フォロワーさま限定・プレゼントつき読了クイズ(終了しました)

プレゼントクイズ

やってみたけど時期尚早だったようです。


不正解者が思いのほか多かった点は著者として至らなかったと反省しております。原因のひとつとして「発売からクイズ開始までの期間が短すぎた」が考えられます。
よって、しばらく時間を置いてから再度同じ企画をやりたいと思います。今回応募したけどはずれてしまった方も、読了していないので応募を見送った方も楽しみにお待ちください。

フォロワーさま限定・プレゼントつき読了クイズ二回目(終了しました)

プレゼントクイズ2回目

と、いうわけで開催いたしました。


さいわい今回は正解率がひじょうに高くなりました。ご応募くださったみなさま、ありがとうございました。

フォロワーさま限定・電書プレゼント(終了しました)

第3刷

第3版決定記念企画。応援してくださったみなさまのおかげです。少しでも還元できれば。

献本用メッセージカード

献本用カード

出演は「なまづをとこ」とタコです。タコの色はオビの色と合わせています。


今回は献本するとき「謹呈しおり」のかわりにこれを入れました。ポストカードサイズ。

書店営業


今回は水戸市限定の営業でございました。

遠未来の発売日

エピグラフにはいつも悩む


「シュレーディンガー音頭」とはこんな踊りです。
歌詞の著作権についてご存じの方はメールまたはTwitterにてご連絡くださるとたいへんありがたいです。

百合じゃない

重版記念

重版出来

重版を記念して版元の東京創元社さんがつくってくれた販促用POP。

 

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ディストピア×ガール。

『シュレーディンガーの少女』

本書のコンセプトは「ディストピア×ガール」(ガールの年齢はいろいろ)。絶望に満ちた世界で戦う女たちを描いた作品集です。

目次と作品紹介

  • 「六十五歳デス」——もし65歳で死ぬことを運命づけられたら
  • 「太っていたらだめですか?」——もし肥満が罪とされたら
  • 「異世界数学」——もし数学が禁止されたら
  • 「秋刀魚(さんま)、苦いかしょっぱいか」——あの身近なお魚が絶滅してしまったら
  • 「ペンローズの乙女」——流れついたのは生贄の島
  • 「シュレーディンガーの少女」——友人の物理学者から謎の実験への参加を頼まれて

基本情報

     

フォローすると、いいことあります(プレゼントのお知らせ等)