ギリシャを旅行してみてわかった、ググっても出てこないこと

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メテオラ、アギア・トリアダ修道院

作成日:2024/10/23 最終更新日:2024/10/24 かいたひと:松崎有理

神話と古代文明の国、ギリシャ。
歴史の授業で習うので有名なわりに、じっさいにかの地を訪れたひとは少ないのでは。以前、科博で科学史の連続講義があったとき、古代ギリシア科学の回で「ところでギリシャに行ったことのあるひと、いますか」と講師が質問したら手を挙げたのはクラスじゅうでひとりだけだったのがとても印象に残っています。
松崎にとってもイメージだけの未知の国でした。2024年10月前半の2週間をかけて、エーゲ海の島々と本土をがっちり回ってきました。限られた時間で得たなるべくディープな情報をお届けいたします。例によって、現地通貨とかコンセントの種類とか世界遺産の数とか、ググればすぐに手に入るような一般的情報は書きません。つまりこの記事は、ギリシャを訪れたくてひととおり調べてみて、さらに深掘りした情報がほしいひとむけです。では、どうぞ。

★当記事の内容は2024年10月時点のものです。現地の状況は刻一刻と変わっていきます。旅行の前にご自身で最新情報をご確認ください。

【もくじ】
驚きの発見、ギリシャってこんな国だった
旅の準備
地域別情報
 サントリーニ島
 パロス島
 メテオラ(世界遺産)
 首都アテネ
ギリシャに親しむための本
旅行者のためのサバイバルギリシャ語

驚きの発見、ギリシャってこんな国だった

ギリシャ=「地中海沿岸」「EU」。このていどの認識で渡航した松崎が現地で味わった驚きポイントの数々をご紹介。

想定より暑い

スペイン、ポルトガルトルコなど、地中海沿岸諸国にはすでになんどか渡航経験があります。ヨーロッパのなかでは比較的暖かいのは知っていました。現地の気温も調べていきました。しかし、それにしても暑かった。パロス島では海水浴ができたくらい。

アテネの天気10月

滞在中の10日間予報。10月なのに最高気温30度ですよ。


というわけで、ノースリーブシャツを持っていったのは大正解でした。そのほか服装やおすすめの持ちもの等については他の項目で説明しますね。

ルッキズム(すくなくとも体重にかんして)から自由だ

同じ地中海諸国でもスペインやポルトガルなどラテン系は小柄で細い印象で、ギリシャの隣国トルコは若いひとならすらりとした美男美女が多い印象でした。ですからギリシャの地に降りたって目にした、老いも若きも奔放な体格の方々に驚愕。さいしょはアメリカ人観光客なのかと思いましたが地元のひとでした。10代の、日本だったらせっせとダイエットに励むであろう年ごろの女の子たちでさえ、おへそまわりやおしりの肉をショートパンツの上下から盛大にはみ出させて街を闊歩しているんですよ。しかもまったく引け目を感じていないらしく。
さいしょこそ驚きましたが、数日経ってみると、彼女らの幸せそうなようすが目立ってきます。日本では、あんなに楽しそうに肩を組んで自撮りしているお腹のはみでたお嬢さんがたなんてぜったいにみられませんよ。松崎は思いました、「ああこの国は体重差別から解放されている」と。

時間や予定はイレギュラーだ

時間にかんしては多少いいかげんだろうなとは思っていました。だが想定をはるかに上回っていました。
今回ひじょうにお世話になった観光ガイドブック、Rick Steves Greece: Athens & the Peloponnese Guidebookにもはっきり書かれています。
「各施設の開館時間や交通機関のスケジュールは変わる。ガイドブックやウェブサイトの情報をあてにせず、各自現地で確認すること」(拙訳・大意)
おそらく、ギリシャが「夏中心の観光国家」であることが原因なのでしょう。夏のあいだは施設の開館時間が長く交通機関の往来も頻繁ですが、オフシーズンにはこれらがめっぽうさびしいことになります。また、「オフシーズン」の定義が各機関によってまちまちなのも混乱のもとかと。
スケジュールが変わりやすいだけでなく、バスやフェリーは時間通りにこないと思っておいていいです。30分や1時間遅れるのは当たり前。まれに早く出発したりもするので油断がなりません。

ベルギーのショコラトリー、レオニダスがさも地元メーカーであるかのように出店している

レオニダスチョコレート

都内のレオニダスに通いつめている同行者がショーケースを一瞥して「一種類を除いてぜんぶ日本で買える」とのたまいました。

米国へ移住したギリシア人の菓子職人レオニダス・ケステキディス氏によって、1913年にベルギーの地に創業いたしました。

(引用はレオニダス公式サイトより。強調は松崎による)
たしかに創業者はギリシャ人で、いかにもギリシャらしい社名とロゴマークですが、ベルギーの会社です。でもアテネ市内にも、空港内にもあります。溶けこんでます。それにベルギーチョコなので別格においしいです。

食品がいちいち巨大

ギリシャのドーナツ

パロス島の老舗菓子屋で購入。これはかなりひかえめなほうです。


写真のドーナツをはじめ、手軽な軽食としてあちこちで売られているギロピタチーズやほうれん草のパイ、アイスクリーム、それにレストランで出てくる料理のポーションがすべからく大きい。アイスクリームなどけっしてダブル以上を頼んではいけない量です。スーパーではヨーグルト(もちろんすべてギリシャヨーグルト)が1キロ入りパックで売られています。
これは先に触れた「ルッキズム(すくなくとも体重にかんして)から自由」とぜったいに関連していると思います。

トイレがきれい、かつ(ほぼ)無料

有料トイレ多いんだろうな、無料のところでは清潔さには期待できないだろうな、便座も紙もないだろうな、というイメージでしたがいい意味で裏切られました。
有料トイレにはメテオラの修道院内で一ヶ所出会っただけでした。
その他の無料トイレは、無料にもかかわらずおおむねきれいでした。便座も紙もおおむねついていました。もちろん例外はありますし、松崎は平均的日本人女性よりトイレ清潔基準がかなり寛容ですのでご注意ください。
また、ギリシャではトイレに紙を流せません。だから「流せる除菌シート」系製品はオーバースペックですよ。ふつうのウエットティッシュでじゅうぶんです。

そのほか、「驚き!」ってほどじゃないけど旅行前に知っておくといいことをリストアップしますね。

  • 治安はよい。すくなくとも松崎が回った範囲では危険は感じなかった。ただし地下鉄や有名観光地、繁華街はスリがとても多いらしいので基本的対策は必須
  • 英語がとてもよく通じる。先に紹介したRick Steves Greeceに「アテネ市民は全員英語をしゃべる」(大意)と書かれているがけっして誇張ではない
  • お金事情。どんなに小さな店でもクレジットカードが使える。現金が必要だったのはメテオラ修道院や正教会など宗教施設、バス、なぜかサントリーニ島フェリーのりば前のカフェくらい。だから現金は数万円ぶんほどをユーロに替えていけばじゅうぶん。バスでは大きなお札がいやがられるので、1〜2ユーロのコインがあるとなおよい
  • 水事情。パロス島の宿のひとには「水道水はぜったい飲むな」といわれた。じっさい変な味がするので、ミネラルウォーターか湯を沸かしてお茶を飲んでいた。いっぽうアテネの水道水はおいしいし問題なく飲める。これは宿の大家さんに確認済み
  • 地名表記。ギリシャ語地名の英語表記には表記ゆれがある。少々のスペルのちがいは気にしない寛容さ、ないし度胸が求められる
  • アテネのスーパーは日曜日は閉店する

旅の準備

おすすめの持ちもの・服装など

ヨーロッパとはいえ、ギリシャは日本と似て長ーーい海岸線があります。おかげで湿度は内陸国家よりは高め。それでも乾燥対策はしましょう。また、ご想像のとおり紫外線はとても強烈です。たとえ10月であっても。

  • つばつきの帽子 前回の教訓を胸に、このたびは持参していきましたよ。ところが到着してみると、現地ではリゾート感あふれるすてきな帽子が山ほど売っているのです。こりゃあ現地で買った方がぜったい楽しいなと思いました。
    なおすてきなリゾートドレスもいっぱい売っていますが、こちらはざんねんながら平均的日本人女性には丈が長すぎるようです。高身長さんはぜひチャレンジを。
  • 日焼け止め 必携。90mL入りボトルが2週間で一本あきました。なお日傘やアームカバーは現地で浮きます。
  • 水着とビーチサンダル 必携ではありませんが10月までに、ビーチのある地域へ行くならぜひ。泳がなくても波打ち際で遊んでいるだけで楽しいです。女性はビキニ推奨。周囲はたとえ何歳でもどんな体型でもみなビキニなのでワンピースやラッシュガードは浮きます。レジャーシートはあったほうがいいですが、宿によってはビーチタオルという大きなバスタオルのようなものを貸してくれるので問い合わせを。
  • ウエットティッシュ 前述のとおりギリシャではトイレに紙を流せません。よって通常の流せるタイプのウエットティッシュは不要です。また、レストランではけっしておしぼりが出ません。
  • 女性のばあいストール 後述するメテオラの修道院群や、大きめのギリシャ正教会では女性は脚を出したかっこうで入場できません。ストールを腰に巻いて脚を隠しましょう。松崎は水着とセットになっていたパレオを流用。ぺらぺらでも、スリットが入っていても問題ありませんでした。なお小さい正教会では大目にみられていました。
  • 服装全般について ギリシャといってもエーゲ海の小島から内陸部の山までさまざまな地形があります。ご自身の行く予定の街の天気、最高気温と最低気温をしっかり確認しましょう。とくにメテオラへ行くかたは、山ですから朝晩は冷えますのでご注意を。松崎はジャケットを一枚持っていってほんとうに重宝しました。10月上旬のメテオラの最低気温は11度でした。
  • 足もとについて おそらく、10月くらいまでの最適解はスポーツサンダルではないかと思います。メテオラへ行くかたも、靴下を併用すればスポサンで問題ないでしょう。松崎は革ブーツで行きましたが正直いって暑かった。メテオラ以外ではずっとビーサンでした。そういう意味でもあってよかったビーサン。

地域別情報

さてここからはさらなるローカル情報です。松崎がじっさいに回った順でご紹介します。

サントリーニ島

いわずと知れたバカンスの聖地。昨今はオーバーツーリズムでも有名になってしまいました。
地図をみればなんとなくわかるように、じつは島全体が巨大なカルデラです。このカルデラをみるのが最大の目的。ですから、カルデラが一望できるこの宿にしました。
フォティノス ハウス
イアにあります。サントリーニ島名物、伝統的洞窟住居でもあります。Rick Steves Greeceによればニセ洞窟住居もあるそうですがこちらは本物。宿にあったパンフレットいわく「1910年以前に地元の大工さんが建てた伝統的洞窟住居。火山岩でできている」(拙訳、大意)とのこと。古い建物ですがひじょうにきれいに維持されています。

ここにしかないおみやげ

  • 数学Tシャツ さまざまな数学モチーフのTシャツをあつかう店が一軒だけあります。ほかではみかけませんでした。アテネの土産物屋にちょっとだけあったかな。

  • ドンキーグッズ サントリーニ島唯一のブルワリー、Santorini Brewing Companyのグッズ。とにかくデザインがキュート。ビールもグッズもサントリーニ島でしか売っていません。ビールも何種類か飲んでみましたがどれもおいしかった。

おすすめレストラン・カフェなど

レストラン選びでもRick Steves Greeceは大活躍でした。なお本書は「この店はぼったくりだから行くな」「このあたりは観光客トラップばっかりだ」(拙訳・大意)などマイナス情報も正直に載せていて好感が持てます。
この本には「ディナーは予約するのが賢い」と書かれていますが、予約できない店もあります。コツは、ピークタイムよりはやめにいくこと。ディナーのピークタイムとはもちろん日没時です。

  • Lotza イア。海の見えるレストラン。予約不可。11時ごろからやっているのではやめに入るといい席がとれる。サントリーニ郷土料理のサラダとfavaという豆のペースト、サントリーニ産グラスワイン、ギリシャコーヒーがあってサントリーニらしさを満喫できる。
  • Lolita’s Gelato イアのバス停そば。ここほんとにおいしいです。目の覚めるような味。ギリシャのあちこちでアイスクリームを食べましたがここがいちばんかも。なお盛りは小さめで、ここならダブルを完食できます。
  • Naoussa フィラで夕陽をみながらディナーをとるならここ。景色はすばらしいしお値段は良心的だし給仕のひとたちも人なつっこくてリラックスできます。日本にいったことのあるウェイターさんが得意げに般若の刺青をみせてくれたのがよい(?)思い出。

おすすめアクティビティ

できれば廉価ないし無料のものをご紹介したいのですが、なにせ超人気観光地。お安く手に入るものはなかなかありません。

  • 有名なサントリーニの夕陽を混雑に巻きこまれずに観る方法 ①真夏の混雑する時期を避ける②夕陽のみえるテラス付きの宿を借りてしまう。これに尽きると思います。
    サントリーニ島の夕陽

    サントリーニの夕陽をひとりじめ。ワインとおつまみ付き(自前で用意)

  • ロバに乗る サントリーニのオールドポートからフィラの街まで登る手段のひとつとして、古来より親しまれるロバタクシーがあります。片道10ユーロ。
    「揺れる」「怖い」というレビューが多く、また乗車(乗ロバ?)を待っているあいだに観光客らしき中年女性が怪我をして担架で運ばれる光景をみてしまったので正直いってすごく怖かったのですが、乗ってみたらまあ、とてもよい経験をしました。
    ロバ使いのおじさんは客をみて最適なロバを割り当ててくれるらしく、松崎を乗せてくれたのは小柄なロバさん。歩調も他のロバに比べておとなしくあまり揺れません。加えて、「動物は声をかけると安心する」という説に従って、乗ロバ中はずっとロバさんに声をかけつづけていました。おかげでほとんど怖い思いもせずに乗ロバ体験終了。乗馬経験などまったくない松崎にもできたのでみなさんにもできますよ。
    なお両手でしっかりつかまらないといけないので写真を撮る余裕はありませんが、とちゅうにカメラマンがいて激写してくれます。プリントアウトのみ、5ユーロ。

  • 猫や犬の写真を撮る これは無料。島の風景がすばらしいのは知れわたっているので、ここはあえて被写体を動物に。

パロス島

サントリーニとくらべるとぐっと知名度が下がります。じっさいこの島ではアジア人観光客をいっさいみかけませんでした。しかし欧米人には有名なようで、10月でもリゾート客でそれなりににぎわっておりました。
とはいえサントリーニほど観光地化されておらず、路地裏に地元のひとたちの生活がかいまみえます。そんな地元の民家のひとつに泊まりたかったので、ここを選びました。
Homebase パリキアにあります。白く塗った壁、木の天井の伝統的キクラデス様式。まわりの家々もみんなおなじつくりです。屋上にテラスがあって海に沈む夕陽をゆっくりながめられるのが最高。ビーチは徒歩2分、スーパーも近くて便利すぎます。なお近所に馬を二頭飼っているお宅があります。

おすすめアクティビティ

この島では廉価ないし無料のものをいろいろご提案できますよ。ここでは基本、お金をつかわず時間をたっぷり使ってすごすのが似合います。

  • 海水浴 無料。上のほうで書いたとおり、水着とビーサンを持参しましょう。そして時間を忘れて浜辺でゴロゴロしましょう。だいじょうぶ、まわりも時間を忘れてゴロゴロするひとばっかりです。
  • 猫と遊ぶ 無料。ここの猫はサントリーニよりずっと栄養状態がよく、かつ人慣れしています。単位面積当たり個体数も多そう。遊んだり写真を撮ったりするならだんぜんこっち。

  • パロス島産ワインを探す ランクによるが数ユーロ〜十数ユーロ。港のそばに大きめのスーパーが三軒あって、ワイン売り場をじっくりながめていると発見できる。
  • 野菜を料理する 数ユーロ。ギリシャの野菜はほんとにおいしいので、キッチン付きの宿にとまったひとはぜひ試して。トマトとキュウリを切って盛るだけでもいいです。
  • パナギア・エカトンタピリアニ教会Temple of Panaya of Ekatontapilianiとその附属博物館へ行く 教会じたいは無料(お布施は任意)、博物館は5ユーロ。松崎は現役でつかわれている教会のほうに感銘をうけました。古いイコンやフレスコ画や建物の雰囲気にうたれます。色違いの石を組み合わせるところはイスラム建築に似ていると思いました。なお女性は脚を出したかっこうでは入れませんが、スカートを貸してくれます。
  • 港でがちょうと遊ぶ 無料。フェリーが出る前の時間つぶしにちょうどいい。がちょうだけでなくあひるとバリケンもいます。
    パロス島のガチョウたち

    こんなメンバーです(入れ替えの可能性あり)。


  • がちょう好きがこうじてこんな作品を書きました。

メテオラ(世界遺産)

何年もまえにメテオラ修道院群の写真をみて、その峻厳さと静謐さに惹きつけられました。こんなところで修行しているひとたちがいまだにいるなんて。いつか訪問したいと思い続け、このたびようやく叶いました。つまりここが旅のハイライトです。

アクセス

はい、またここでギリシャの大原則をくりかえします。「予定はイレギュラーだ」(By Rick Steves)。
松崎が調べた限りでは、アテネから最寄りの街カランバカKalambakaまで直通の列車があるとのことでした。ギリシャで鉄道といえばギリシャ国鉄Hellenic Train。ウェブサイトでのチケットの予約はいかにもかんたんそうなのに、いくら調べてもめざす便が出てきません。
いろいろ試してぼんやり理解したのは、

  • オフシーズン(たぶん10/1から)には直通列車はない。かわりにPaleofarsalosという駅で代替バスに乗りかえるルートがある
  • チケットはかなり直前にならないと予約できない(なんのための予約?)

しかたがないのでPaleofarsalosバス乗りかえルートを予約しました、出国ぎりぎりに。鉄道で三時間、バスで二時間という長旅です。
ここでも誤算がいくつか。

  • 食堂車がついているので期待していたが、サンドイッチとサラダが何種類かあるだけだった
  • バス。二時間も乗るのになんとトイレがない(←ここ重要)

というわけでみなさま、食堂車で豪遊するのはくれぐれもひかえめに。

メテオラ全修道院攻略法

メテオラにある6つの修道院すべてをじっくり、自分のペースで見て回りたい。そんなひとにツアーは向きません。
ここでは松崎が経験と後悔から編み出した方法をお伝えいたします。
なお、以下の方法は時間があって、かつ体力のないひと向けです。体力のあるひとはもっと短時間で回れるでしょう。
まずは地図をながめて、位置関係を把握してください。ここの地図がもっともわかりやすいと思いました。
まずは前泊必須です。なぜなら、オフシーズン(いつからを指すかは不明)にはカランバカ⇔メテオラ間のバスは一往復に減ってしまうからです。
2024年10月のタイムテーブルは、
 行き 9:00 カランバカ発
 かえり 13:15 メテオラ発

のみ。カランバカからメテオラまでだいたい30分強ですので、見学時間は実質3時間半しかないことになります。
ですからじっくりみたいひとは、徒歩で自力下山する方法をとりいれましょう。ブログ等ではさんざん「遠い」「疲れる」「足腰が痛んで翌日つらい」などと書かれていますがそうでもありません。しょせんは下りです。松崎だって降りてこられたんだからぜったいだいじょうぶです。
では前日夜にカランバカ入りしましょう。宿は駅近でバスターミナルにも近いここにしました。
Divine Meteora Luxury midtown apartment
この宿は他の宿のような建築的おもしろみはないのですが、メリットはなんといっても立地。スーパーマーケットは目の前、レストランやカフェも近所にたくさんあります。なにより窓やテラスからメテオラの修道院と奇岩群が臨めます。宿に戻ってからもメテオラをみられるなんてもう、24時間メテオラ三昧です。
翌日からはこんなスケジュール。

  • 一日目 朝9時のバスに乗る。聖ステファノス修道院前で下車。聖ステファノス修道院を見学後、ゆるい坂道を下ってアギア・トリアダ修道院を見学。13:15のバス、ないしアギア・トリアダ修道院そばからのトレイルロードを降りてカランバカへ帰る
    カランバカへの道しるべ

    こんなかんじでわかりやすい道しるべが立っています。ギリシャ文字は読めるようにしておきましょう。徒歩下山の所要時間は40分ほどでした。

  • 二日目 朝9時のバスに乗る。大メテオロン修道院から見学開始。つづいてとなりのヴァルラーム修道院、すこしはなれたルサヌー修道院へ。下り坂なのでさほどたいへんではない。13:15のバスでカランバカへ帰る
  • 三日目 朝9時のバスに乗る。乗車時、運転手に「聖ニコラオス・アナパフサス修道院で降ります」と必ず伝える(でないと停車してもらえない危険がある)。ゆっくり見学し、13:15のバスでカランバカへ帰る。または修道院から近くの車道を降りていってKastraki村経由でカランバカへ。一時間ほどで下山できる

「このスケジュールだと午後なにすんの」という疑問を抱くひとがいるかもしれません。いいですか、これは体力のないひとむけです。午後は食事して、シャワーあびて洗濯して、ゆっくり休むのです。翌朝のバスは9時で、これをのがすと自力登山になってしまいます。
二日目の見学時間にやや余裕がないのが欠点ですね。もしもっといいスケジュールを思いついたかたはご連絡ください。あ、いまこれを「メテオラ6修道院巡回最適化問題」と名づけました。
なお、各修道院には休日があります。最新の情報はここで確認できます。上でご紹介したスケジュールは(水)〜(金)であれば実行できます。
と、かようにメテオラ6修道院制覇は事前の計画がだいじです。それと現地についたらすみやかにバスの時間を確認すること。そのほか気づいたことを次項でリストアップしますね。

メテオラ全修道院攻略Tips

  • バスターミナルから出るバスはメテオラ行きだけではない。行き先表示もわかりづらいので、乗車時にためらわず運転手に質問する
  • 修道院のトイレ。紙がないところもあるので持参する。有料のところもあるので小銭を用意する。イスラム式のところがあるので驚かないように。なおメテオラには、松崎がギリシャで出会ったなかで最高にきれいなトイレ(ヴァルラーム修道院。有料、1ユーロ)と最低なトイレ(聖ニコラオス・アナパフサス修道院。紙なし、ごみ箱なし、水なし)があった
  • 聖堂内など写真禁止の場所ではほんとうに禁止。違反すると容赦なく怒られる。また帽子を取らねばならないところもあるので注意。女性のノースリーブは許容されることもあるが、長いスカートは必須。なお薄くてスケスケでも、スリットが入っていても可
  • 修道院の階段。ブログ等でさんざんおどされいているほとつらくはない。金比羅さん東京タワー外階段を体験したひとなら余裕。ただし連続するとさすがにつらく、松崎は三ヶ所までが限界と感じた
  • 可能なら真夏の訪問は避ける。修道院間を徒歩で移動するばあい広くてさえぎるもののない車道をずっと歩かねばならず、10月でさえ暑くてつらかった。かつ、水を買える場所がとても少ない
  • やっぱり猫がいっぱいいる。餌はじゅうぶん与えられているが水が足りないらしい。地面のくぼみに水を注いであげるととてもよろこびます
    水を飲むメテオラの猫たち、ギリシャ

    水は貴重です。

ここにしかないおみやげ

修道院内の売店で売っているものはたぶんすべてがここでしか買えないものです。すくなくとも松崎が訪れた範囲にはみつかりませんでした。だからどれを選んでも「ここだけのおみやげ」になると思いますが、あえてお勧めを挙げれば。

  • 修道院でつくったワインやはちみつ 修道院らしいおみやげ。重くて割れやすいのが難点。松崎は200mLほどの小さな瓶の赤ワインを買ってみました。甘口でした
  • しおり 軽くておみやげ向き
  •  いちばんのお勧め。日本にいるときはメテオラのいいガイドブックをみつけられませんでしたが、修道院内で売っているメテオラ解説本は写真や図解も豊富。撮影禁止区画の写真が載っているのも高ポイント。日本語版もあります

食事情報

カランバカはいいかんじの地方都市で、レストランやカフェもたくさんあります。どの店に入ってもおおむねはずれはないでしょう。
あえておすすめするなら、内陸なので肉料理。ぜひギロピタを試してください。その肉の量に、「いままでサントリーニやパロスで食べていたのはなんだったのだ」と驚愕しましたよ。
ギロピタ屋さんを一店だけあげるとすればChicken time FAST FOOD。かっこいいおねえさんたちがきびきび働いていて好印象です。ギロピタだけでなくスブラキやサラダも売っています。テイクアウト、店内飲食ともに可。
なおカランバカはキノコ博物館があるくらいキノコで有名らしいです。じっさい、トレイルロードでキノコ狩りする地元の夫婦に出会いました。ところが、同行者がレストランでキノコ料理を山盛り食べて皮膚に発疹が出ました。さいわい皮膚症状だけで済んだのですが、日本のキノコにはない成分が含まれているのかもしれません。ねんのため注意喚起しておきますね。


写真の撮れる博物館はヴァルラーム修道院にあります。ほかの修道院も博物館併設のところがあって、美しいギリシャ語写本を鑑賞できますよ。

さて、ぶじ6修道院を巡り終えました。せっかくですから100パーセント松崎の好みでベスト3を決定しちゃいましょう。

  • 1位 アギア・トリアダ修道院 いかにも修道院らしい、禅寺にも共通する簡素なたたずまいに惹かれます。写真は撮れませんが聖堂内の絵画が古びたいい味を出しています。
  • 2位 ルサヌー修道院 尼僧院らしくこじんまりとかわいらしい。ここも聖堂内が圧巻。とくに縦型信号みたいなステンドグラスがかわいかった。
  • 3位 聖ニコラオス・アナパフサス修道院 狭い岩の上になんとか修道院の面積を確保しようと多層構造になっているところが先人の工夫というか涙ぐましい努力を感じます。その多層になった建物をどんどん上の階へのぼっていくと開ける光景がまたすばらしい。ここのお土産屋さんのラインナップは独特です。

こうしてみるとあからさまに小さい修道院に偏っていますね。大きい修道院に併設された博物館は魅力的だと思いました。

首都アテネ

ギリシャの旅さいごの訪問地がアテネ。古代遺跡で有名ですが、随所にくわしく解説されているのですっとばします。宿は、各種観光スポット至近のプラカ地区にあるここにしました。
A Painter’s House in Plaka
その名のとおり画家の家です。リンク先の解説によれば、「19世紀の印象派画家Pericles Pantazisの家。18世紀の建物。画家の子孫が愛を持ってリノベーションした。変更は最小限にとどめた」(拙訳・大意)。内装も家具もすてきで、なによりキッチンのクラシカルなコンロにしびれます。到着したときは周囲があまりに繁華なので心配しましたが、入ってみるとそれはそれは静か。きっと壁が厚いからでしょう。石積みを芯にして白く塗って仕上げており、外が暑いときもひんやりすずしく快適でした。

遺跡以外のおすすめアクティビティ

アクロポリスとか古代アゴラとか国立考古学博物館とか、名所関連の情報は山ほどありますので当ページでは無料〜廉価でたのしめるちょいマニアックな提案を。

  • 中央市場散策 スーパーマーケットも楽しいですが昔ながらの市場もおもしろいです。アテネの中央市場がほかのヨーロッパの市場と一線を画するところは魚の新鮮さ。イワシもサバもきらきらですよ。アテネ在住の日本人が刺身を食べたくなったらここに材料を買いにくるとか。熱心に魚をみていると日本語をしゃべれるおじさんが「スズキです」「クロダイです」とか話しかけてきてほっこりします。
  • ギリシャ正教会めぐり アテネ市内には小さくて古くていまも現役の教会があちこちにあります。何百年ものあいだアテネ市民にキスされつづけてきたイコンを鑑賞しましょう。少額でいいのでお布施を払って蜜蝋の蝋燭に火をともすのもアクティビティのひとつ。


    教会でもらったパン(聖体)

    日曜日の朝。この教会ではパン(聖体?)をくれました。硬くてすっぱかった。

  • 舗道の石観察

食事情報

プラカ地区にはそれはもうおしゃれなレストランがたくさんあります。どれが「観光客トラップ」でどれがあたりかはRick Stevesにおまかせするとして、松崎が気に入った食べもの・お店についてご紹介。

  • ギリシャ伝統ドーナツ
    Kirinos 松崎は店内飲食しましたが持ち帰りもできます。


    Lukumades ホームメイドアイスクリームも自慢。ドーナツに乗っけられます。アテネ市内にいくつか支店あり。

  • Thanasis スブラキ屋さん。すごいボリュームですごいおいしいのに安い。席はたくさんあるけど週末は地元のひとたちで埋まってしまう超人気店。平日推奨。


    写真のロゼワインは500mLボトル。そう考えて大きさを割り引いても、やっぱり巨大。

ギリシャに親しむための本

古代ギリシャをテーマとする本はたくさんありますが、現代のギリシャを単独であつかった本って意外と少ないのです。あの明石書店「エリア・スタディーズ」シリーズにもありません。その少ないなかからさらに厳選してご紹介。

旅行者のためのサバイバルギリシャ語

なんかもう意外ではなくなってきましたが、現代ギリシャ語の参考書は数が少ないのです。古典ギリシャ語は山ほどあるようですけれど。
その数少ない現代ギリシャ語参考書のなかでたぶんいちばん手に入れやすいのがこれ。
『ニューエクスプレスプラス 現代ギリシア語』《CD付》木戸雅子
でも、数週間程度の旅行であればそこまでがんばって勉強しなくていいかもしれません。本記事の上のほうでも書いたとおり、ギリシャは英語がとてもよく通じるからです。
それでも、片言でもいいからギリシャ語ができると現地のひとの反応がちがいます。だいいち、ギリシャ文字は読めるようになっておいたほうがぜったい便利です。地名、標識、スーパーでのお買い物。英語併記がない状況はけっこうあります。ギリシャ文字の読み方については『ニューエクスプレスプラス』のさいしょのほうのページでとてもていねいに解説されています。まいにち持ち歩いて徹底的にたたきこみましょう。
以下はおすすめのウェブサイトです。

  • ギリシャ語学習コンテンツ ものすごく充実したギリシャ語学習サイト。旅行者はてっとりばやく「フレーズ集」からあいさつなどの基本フレーズを頭の中にペーストするとよいでしょう。発音つきなのがうれしい。文法的説明もしっかりしてくれます。
  • Super Easy Greek – Greek for beginners あいさつフレーズは暗記したけど、どういう状況でいえばいいのかわからないときはこの動画シリーズを。なんと全編ギリシャ語(英語字幕あり)。旅行者はとりあえず、
    The First 50+ Greek Words Beginners Should Know
    Greek for Absolute Beginners
    の2本をくりかえし視聴しておけばじゅうぶんだと思います。リアルギリシャ人によるリアル現代ギリシャ語に触れられますよ。

 


「中」の文字がギリシャ語アルファベットのΦに似ているところがポイントかと。


さる事情で理想のドーナツを探し求めています。ギリシャのシュガードーナツは松崎の理想にものすごく近いのです。しかしギリシャ遠い。


ギリシャでは街をみわたすと数学用語だらけでした。

 

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目の覚めるようなバカSF。
転生ものの新機軸。

山手線が転生して加速器になりました。POP

『山手線が転生して加速器になりました。』

2020年、世界を未曽有のパンデミックが襲う。
人類は、密を避けるため都市を捨てる選択をした。
 「東京が無人に?
 じゃあ、山手線を加速器にしちゃおう」
 (注・加速器とは、巨大なリング状の科学実験施設です)
それから10年が経過した近未来、フルリモートで生きる人類を描く連作短編集。
ありえたかもしれない、もうひとつのポストコロナ。

【目次】
山手線が転生して加速器になりました。
未来人観光客がいっこうにやってこない50の理由
不可能旅行社の冒険――けっして行けない場所へ、お連れします
山手線が加速器に転生して一年がすぎました。(表題作続編)
ひとりぼっちの都会人
みんな、どこにいるんだ
総論 経済学者の目からみた人類史
付録 作中年表

発売日 2024年08月07日
光文社文庫
ページ数 312p
ISBN 9784334103873
定価 858円(税込)

     

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