『結晶銀河』刊行記念 第2回創元SF短編賞贈呈式+トークイベント詳細レポート






『結晶銀河』刊行記念 第2回創元SF短編賞贈呈式+トークイベント

イベント開始直前の会場風景。




さる2011年8月5日(金) 19時より、ベルサール飯田橋において
第2回創元SF短編賞贈呈式、および年刊日本SF傑作選『結晶銀河』刊行記念トークイベントが行われた。
以下、松崎による詳細レポートを
(本文中では敬称略):


『結晶銀河』刊行記念 第2回創元SF短編賞贈呈式+トークイベント

さいしょは贈呈式。
東京創元社社長より酉島さんに賞状、および副賞が贈られる。
去年を思いだしてちょっと涙ぐむ松崎。
酉島さんより受賞のことば:
「今日この場に立てたことを光栄に思います。
小説を書いては落選する、というのが年中行事になって久しく、それがいつまでもつづくのだろうと思っておりました。
今回、タガをはずして好き放題に書けたのも、それをみなさまに読んでもらえるのも、創元SF短編賞という、ほかに類をみない、献身的な審査のある賞のおかげだと感謝しております。
ありがとうございました」


『結晶銀河』刊行記念 第2回創元SF短編賞贈呈式+トークイベント

そして空木さんにも賞状が。
受賞のことば:
「このたびは創元SF短編賞佳作という栄誉ある賞を賜わり、
応援してくださったすべてのみなさま、選考委員の先生方に心からお礼申しあげます。
また、古典文学の楽しさを教えてくださった駒澤大学の松井健児教授、
そして、私生活の面をひごろからいちばん近くで支えてくれている婚約者にはとくに感謝しております。
本当にありがとうございます」

『結晶銀河』刊行記念 第2回創元SF短編賞贈呈式+トークイベント

演者四名が壇上にあがり、トークイベント開始。

先日逝去された日本SF界の巨匠、小松左京先生をしのぶ話題ではじまる。
大森「8/17に追悼イベントをやります。
大阪でも、同様の企画が進行中です。
9月のSF大会では、瀬名秀明さんが小松先生のノンフィクション作品についてパネルを持つことになりました」
そして、おなじ関西在住である堀晃先生がたのしい思い出話を披露してくださる。
堀「ぼくは小松先生の”生まれながらの弟子”なんです。
横田順彌さんは”唯一の公認弟子”なんだけど、ぼくは非公認ね。
デビュー前の小松先生にはじめての原稿をみていただいたことがじまんです。高校生のときでした」

『結晶銀河』の話題へ。

大森「今回は収録作についてはもめませんでしたね。ベストメンバーというかんじ。
ほんとは、みんな知らないような作品が多いほうがいいと思うんだけど、今年はべつ」
日下「大森さんから、”これってSFじゃないだろ”みたいなのがこれほどこなかったのははじめて
小浜「白井弓子先生の担当編集者に連絡したら、
めちゃくちゃ喜んでいて。収録を狙っていたんだそうですよ。
そうそう、じつはこの収録にあたって加筆されてます。 まんがと文庫は縦横比がちがうので。
それから長谷敏司くんの(「allo, toi toi」収録決定通知のときの)喜びようったら。
それとね、星雲賞をあてた(小川一水「アリスマ王の愛した魔物」)」
大森「じつは、今回のかくしテーマは”児童ポルノ規制法反対”」
小浜「巻末に短編賞受賞作をいれるのは日程的にきついんだけど、来年もやります」
大森「ぼくは、だいじょうぶです。
一月のうち二週間をこのためにあててますから」
堀「二週間で、ぜんぶよむんだ」

このあとしばし、大森さんが原稿をよむスピードがいかに早いか、たいする日下さんがいかに遅いか、の話題で盛りあがる。

小浜「堀さんが”六十歳すぎのひとがかいた一代記、みたいなのはないんだね”っておっしゃってたんですが、答えとしては、投稿規定の手書き不可がネックになっているんじゃないかなと。
六十歳でデビューってありだと思いますけどね。そのあと十年がんばればいい」
大森「一次でかならず落とすのは、タイムスリップして江戸時代とか戦国時代にいくというやつ。ほんとに多い。そしてみんなだめ。
そして強く思ったのは、ふつうのSFってかくのがとてもむずかしい、ってこと」


『結晶銀河』刊行記念 第2回創元SF短編賞贈呈式+トークイベント

ここで受賞者ふたり登壇。

小浜「最初から、この二本にしぼられていましたよね」
大森「受賞作、よんだひとはどのくらいいますか。挙手して。
それじゃあ、とちゅうであきらめたひとは
小浜「応募時の五倍はよみやすくしてますよ」
日下「そうそう。(決定稿を)みておどろきました」
小浜「この作品の直しにはとにかくエネルギーをつかって。なんだか魂もっていかれた心持ちでした。
いちばんたいへんだったのは、この著者はいったいなにを書こうとしているのかわからないこと」
酉島「それを説明するのがたいへんでした」
大森「また小説に書いたらいいよ。作家と編集者の葛藤、みたいな」
小浜「大阪ではじめてお会いしたとき、”ああふつうのひとでよかった”と心から思いました
堀「大阪のひとだっていうので電話してみたら、行きつけのたこやき屋の話で盛りあがっちゃって。
後日、その店でいっしょに祝杯をあげたの」
大森「『棺詰工場のシーラカンス』は、ファンタジーノベル大賞の選考でよんでいたんです。これすごい、って押したかったんだけど、新潮のひとたちには理解してもらえなかった。”売れないからだめです”って。
いまかれらが求めているのは『しゃばけ』みたいなやつ。昔のファンノベのおもかげはありませんよ。
創元だって、小浜くんが難色をしめしてた」
小浜「せめてルビをつけてください、と」
大森「でも。女性編集者(=F嬢)が
”あれをよみやすくするんですか。それって方向性がちがうでしょ”
と怒ってたじゃない」
小浜「笛地静恵さんに傾向が近いかな、と思いましたね。それと『マトリックス』の世界観を連想した」
大森「資質としてSFに向いてるかな、と心配してたんだけど、こんどのはがっちりSFだよね。
しかし、ふつうのSFはかけないの」
酉島「いや、あれ、ふつうのSFですよ」(と関西イントネーションで)

小浜「それでは、空木くんの紹介を。
虫めづる姫君からはじまるうつくしい作品です」
大森「商品としては出しやすい。即戦力になりそうですね。
古典が専門なの」
空木「はい」
大森「SFは、勉強中か」
空木「はい」
大森「もっと自分からいろいろしゃべろうよ
それじゃあ、なぜこの賞に応募したの」
空木「ほかでは受け入れてもらえないかな、と」
小浜「ファンタジーノベル大賞の短編版みたいに思われているのかな。
でも、あれはりっぱなSFだよね」


『結晶銀河』刊行記念 第2回創元SF短編賞贈呈式+トークイベント

大森望賞の片瀬二郎さん、堀晃賞の忍澤勉さんも登壇する。

小浜「片瀬さんは、すでにデビューされてますよね(1998年、ENIXエンターテインメントホラー大賞)」
片瀬「ホラーがすきなんです。書いているとどうしてもホラーになってしまう」
大森「日下さんが”これはSFじゃない”と」
堀「ぼくはSFだと思いますよ。『スカイライン』よりははるかにおもしろい」

小浜「そして、忍澤さん。『イワン・デニーソヴィッチの優雅な一日』で去年も最終に残ってます。
ぼくはすきだったけどな」
忍澤「でも、大森さんからこてんぱんにやられた」
小浜「筆暦はどのくらい」
忍澤「二、三年です。会社をやめて時間ができたので、十編ちょっと応募して、ここと、ほかでも賞をいただいて。歩留まりはよかったかな」
小浜「でも、みなさん。くれぐれも会社はやめないでくださいね
堀「短編らしい短編です。端正な文章できれいにまとまっています。
大人の小説です。たいへんいいと思いました」

小浜「それでは、去年の受賞者および『原色の想像力』著者のみなさんをご紹介」

松崎からはサプライズプレゼント。
ご来場のかた限定一名に、愛知名物・大あんまき詰め合わせを。
写真なしです。ごめんなさい。


『結晶銀河』刊行記念 第2回創元SF短編賞贈呈式+トークイベント

左から、第一回創元SF短編賞佳作の高山羽根子さん、第一回創元SF短編賞山田正紀賞の宮内悠介さん、「人魚の海」執筆の笛地静恵さん。

高山「『ミステリーズ! vol.48』に新作短編がのったばかりです。それから『NOVA6』にも書きます。よろしくおねがいいたします」
宮内「『webミステリーズ!』に麻雀小説が、『NOVA5』に金融SFがのりました。ご一読いただければ」
笛地「年内に、商業誌に短編を書きます。年明けにも中編と短編の仕事が」

小浜「それでは最後に、演者のみなさんからひとことずつ」

堀「新人の作品はよんでいて刺激的ですね。
年刊傑作選よりは『原色の想像力』のほうがおもしろかったくらい」

日下「よむのが遅くなって申しわけありません。
地震の影響でおくれてしまいました」

大森「ぼくは、よむこと自体はたいへんたのしい。苦痛はまったくない。
ただ、封筒開けて原稿出して、という物理的作業がつらい。
わんこそばのお姉さんみたいなのがそばにいてくれるといいんだけど」

日下「でも、それだとよみおわらせてくれないよ

きれいに落ちたところで、おひらき。
ご来場くださったみなさま、ほんとうにありがとうございました。


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