フォロワーさんに電子書籍をプレゼントしたい

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松崎有理「イヴの末裔たちの明日」電子書籍プレゼント

作成日:2019/04/03 最終更新日:2020/03/11 かいたひと:松崎有理

「フォロワーさんの個人情報を守りながら、拙著をプレゼントする方法はないものか」と、ずうっと模索してきました。このたびよい方法がみつかりましたので、プレゼント実施の顛末も含めて記事にしました。
「もっといい方法知ってるよ」という方は、どうぞメールまたは公式Twitterへのリプライで情報をお寄せくださいませ。
【もくじ】
物理本(紙の書籍)のばあい
AmazonのKindle——そもそもプレゼントできない
Apple Books――メールアドレスが必要
紀伊國屋のKinoppy、およびhonto――メールアドレス(=ID)が必要
SONYのReader Store——なんにもいらない。ここが最適
じっさいにプレゼント企画をやってみた顛末

物理本(紙の書籍)のばあい

もちろん、さいしょに思いついたのが素直に「紙の本を贈ろう」。
ところがこれ、Twitterフォロワーさんの個人情報を守りながらプレゼントするのって困難をきわめるのです。
ふつうに郵送するなら送り先の本名と住所が必要。
「郵便局留め」という方法をつかえば住所は隠せますが、本名だけはどうしても必要です。
宅配便の営業局止めやコンビニ受取も同様です。
「出版社を通して送ってもらう」という手もありますが、けっきょく住所氏名が出版社に把握されてしまうこと、そして出版社に発送業務の負担がかかってしまうこと、の二点で断念しました。

AmazonのKindle――そもそもプレゼントできない

というわけで。物理本を贈るのはあきらめて、よりハードルの低そうな電子書籍を贈れないかと調べました。
まずは最大手Amazon。
電子書籍のギフトおよび他の人のための購入 (日本ではサポートされていません)
そうです日本ではできないんです。
というわけで即、ほかをあたりました。

Apple Books――メールアドレスが必要

App Store & iTunes ギフトをメールで贈る
送り先のメールアドレスが必要です。捨てアドでもいいのかもしれませんが。
そもそも。世間はmacやiPhoneユーザばかりではないので、Appleに特化したアプリは不親切です。
本筋とはかんけいありませんが、サイトの説明画像でプレゼントされてるのがMaroon 5の楽曲ってところがすばらしいなと思いました。

紀伊國屋のKinoppy、およびhonto――メールアドレス(=ID)が必要

Kinoppy 電子書籍プレゼントについて
こちらはKinoppyアプリ(無料)をダウンロードすればどのデバイスでも読めます。
しかし、やはり送り先のメールアドレスが必要。
「捨てアドでもいいんですか」(大意)と紀伊國屋書店・電子書籍事業課さんに質問してみました。
するとたいへんていねいな答えがかえってまいりまして、要約しますと:
「プレゼントされた電書を読むには紀伊國屋ウェブストアに入会し、アカウントをつくる必要がある。このさいメールアドレスがIDとなる。よって、プレゼントされた本をずっと読みたいなら捨てアドは不適かもしれない」(大意)
ということでした。

 

hontoでも同様のシステムのようです。以下のページでわかりやすく説明されています。
電子書籍をプレゼントする(ギフト購入)

  • 電子書籍をギフトとしてご友人やご家族に贈ることができるサービスです。
  • ギフト購入の受け取り手順(贈られる側)
    hontoを初めて利用する方は「新規会員登録」より会員登録する。すでにhonto会員の方はログインする
    いずれの場合も、会員ID(メールアドレス)は「hontoからのメールを受け取ったメールアドレス」である必要があります

プレゼントとは本来、親しいひとに贈るものです。本名もメールアドレスもわからないひとにプレゼントするような事態は想定していないのもうなずけます。

SONYのReader Store――なんにもいらない。ここが最適

という感じで松崎がうにょうにょと悩んでいると、担当編集者がこんな情報を教えてくれました。
Reader Storeという電書書店がさいきんプレゼント機能を追加したらしいですよ」(大意)
公式サイトにはいまのところ、プレゼント機能について詳細に解説したページはありません。
さっそく、つれあいのiPhoneをつかってプレゼントのテストをしてみました。
まず松崎がReader Storeで拙著「イヴの末裔たちの明日」を「プレゼント」として買います。するとその本1冊にたいしてひとつ、URLが発行されます。それをDMで送信。

電子書籍プレゼント

プレゼントの受け手側の画面。TwitterのDMで贈られてきたリンクをクリックすると、こんな画面が表示されます。このさい、贈り手がだれであるかは表示されません


電子書籍プレゼント

はじめての方は「利用を開始してギフトを受けとる」をタッチ。


電子書籍プレゼント

めんどうな会員登録をしなくても、お持ちのTwitterアカウントで入れます。


電子書籍プレゼント

Twitter側で連携アプリを認証。

電子書籍プレゼント

プレゼント受取有効期限は6ヶ月です。


電子書籍プレゼント

こんなかんじでひたすらていねい。


電子書籍プレゼント

電書を読むためのReader Store専用アプリもありますが、そのままブラウザで読むこともできます。すごい。シンプル。超かんたん。

Reader Storeの利点をまとめますと。

  • 購入者(贈り主)が「プレゼント」として買った電書へアクセスできるURLをペーストして相手に送るだけ。URLとはテキストデータなのでメールはもちろん、TwitterのDMでもかんたんに送信できる。このばあい贈られる側はメールアドレスを伝える必要がない
  • 贈られた側は、Reader Storeのアカウントをつくる必要もアプリをダウンロードする必要もない。なんとTwitterアカウントでログインでき、ブラウザで読める。これまた簡便で負担が少ない
  • 今回の松崎のばあいはかんけいなかったが、贈り手のプライバシーも保護される。贈り手側のIDや各種アカウントが受け手画面に表示されることはない
  • この仕様であれば、「又貸し」ならぬ「又プレゼント」が可能。URLにはアクセスせず、そのまままるっと贈りたい相手へ送ればいいだけ

松崎は本気で、こりゃ電書界の革命だと思いました。
欠点といえばオフラインではみられないことくらい。すみません旅行のお供には向きませんね。

じっさいにプレゼント企画をやってみた顛末

テストを終えてさっそく、フォロワーさま限定・拙著プレゼント企画を実行。


システムが簡便なおかげでひじょうにスムーズに進行しました。


ひとつ反省点を。
先着順方式は抽選よりも簡便かつ透明性が高いのですが、欠点があります。Twitterをみる頻度が低いひとは不利になってしまうこと。
今回のばあい、ひる12時に告知を出してよる7時には締め切りました。
つまり「深夜しか見ない」「朝しか見ない」習慣のフォロワーさんたちは応募しそびれたわけです。
というわけで、以後は抽選方式に切り替えました。3日くらいの応募期間を設けて、応募者さんたちのアカウント名から当選者をランダム抽出するのです。
なお抽選にはこちらのツールを使わせていただいています。この場をかりて作者さまにお礼を申しあげます。
テキストランダム抽出(くじ引き)

 

この記事を気に入っていただけましたら、「いいね」や「リツイート」をしてくださるととてもはげみになります。

 

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プレゼントしてみた企画、ほかにもこんなのがあります。
ノベルティとしてオリジナル金太郎飴をつくってみた

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人間の極限。

『イヴの末裔たちの明日』

出版社 東京創元社
発売日 2019/11/29
単行本、四六判仮フランス装
定価 1700円(税別)
装画 カシワイ
装幀 小柳萌加(next door design
●がっちりSFな短編集。でも「SFってこむずかしげで苦手」というかたでもエンタメとして楽しめるよう工夫しています。ぜんたいのテーマは「人間の極限」。窮地に立たされた主人公への魂の試練です。
●もくじと作品概要
1、「未来への脱獄」
ストレートな時間テーマもの。
「自分は未来人」と嘘をついたせいで懲役となった男が、刑務所のなかで同じく未来人と自称する男とガチでタイムマシン建造する話。
★冒頭部分はリンクから読めます
また、電子版が単品販売されています。
2、「ひとを惹きつけてやまないもの」
本書のなかで最長。
19世紀のトレジャーハンターと21世紀の数学者が、たまたま同じ名前の謎の解明にとりつかれます。謎には莫大な賞金がかかっているところも同じ。
前半部分を無料公開しています。
3、「イヴの末裔たちの明日」
表題作。近未来もの。
AIに仕事をとられて失業した主人公がみつけた、ぜったいに人間にしかできない仕事とは。
こちらも電子版単品販売があります。
また、オーディオ版もあります。朗読は兼高美雪さん。
4,「まごうかたなき」
書き下ろし。
伝奇ファンタジー。村をおそう妖怪を退治するため決死隊が結成されます。妖怪を倒せば英雄になれますが、ひじょうに危険な任務です。妖怪にはある不思議な特徴があって、だれが倒したかわかるようになっています。
5,「方舟の座席」
書き下ろし。「ひとを惹きつけてやまないもの」スピンオフ。
滅亡寸前の地球から、ひとにぎりの超富豪が宇宙ステーションへ逃れます。皮肉なことに彼らは先の短い老人ばかり。それと非公式に、若い女性も幾人か含まれていました。
「web本の雑誌」で牧眞司さんの書評が読めます。
●ほか、くわしい情報は当サイト内特設ページをごらんください。
●ご意見・ご感想は東京創元社までおねがいいたします。

     

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