第2回創元SF短編賞受賞者インタビュー






『結晶銀河』刊行記念 第2回創元SF短編賞贈呈式+トークイベント

東京創元社一階会議室にて、演者と受賞者全員集合。
左手前から時計回りに:
1、第二回創元SF短編賞佳作の空木春宵さん 2、東京創元社編集部の小浜徹也さん 3、ゲスト審査員の堀晃先生
4・5、受賞者の酉島伝法さんとその奥さま *) 6、選考委員の日下三蔵先生 7、大森望先生。 (以下、本文中では敬称略)




松崎の出身賞である創元SF短編賞もぶじ、第二回が終了。
さる2011年8月5日(金)19時より、ベルサール飯田橋において
贈呈式、および年刊日本SF傑作選『結晶銀河』刊行記念トークイベントが行われた。
もちろん松崎はカメラを持って参加、今回も取材モード全開だ。
しかも、受賞者インタビューという新企画もひっさげて。

東京創元社会議室で受賞者おふたりと名刺交換。
まずは受賞者、酉島伝法(とりしま でんぽう)さん。
松崎「このたびはおめでとうございます。作品、よませていただきました」
酉島「恐縮です」
そして佳作の空木春宵(うつぎ しゅんしょう)さん。
松崎「このたびはおめでとうございます。作品はまだよんでません」
外野一同「あたりまえだろ」
と、きれいにボケツッコミがきまったところで、隣室にてインタビューがはじまった:


第二回創元SF短編賞受賞 酉島伝法さんにインタビュー

――小説を書こうと思ったきっかけは。

「小学校四年生のときだったかな。ドリトル先生のパロディを書いたんですよ。それと江戸川乱歩も。
やってみたら、たのしかった」

――ということは。子供のころから作家になりたかったのでしょうか。

「いいえ。最初は漫画家になりたかった。
作家にはなれるはずがないだろう、と子供心に思ったんです。それで、絵のほうへ進んで」

――しかし。絵のほうがさらにたいへんなのでは。

「はい。たいへんでした」

――尊敬する作家は。

「多和田葉子さんです。執筆を本格的にはじめた二十代後半ごろからはまりました。
言葉の異化、が興味ぶかい」

――座右の書は。

「ピエール・マッコルラン『恋する潜水艦』。なんどもよみました」

――小説をかくときに気をつけていることってなんですか。

「状況を描く、描写をする、ということ」

――あなたにとって小説を書くってなんでしょう。

「書いていないと心の平穏が保てない。
でも、書くともっと心が乱れるんですけどね」

――筆暦は。

「十二年」

――投稿暦は。

「十一年」

――今回、創元SF短編賞に応募されましたが、長編と短編ではどちらがとくいですか。

「短編かな、とさいきん気づきました。
これまでは主に長編を書いていたんですけど、無理をしていたみたいです」

――この賞をえらんだ理由は。

「ここしかない、と思ったから。
ぼくの作風は大森さんしか認めてくれないだろうと」

――この賞を知った媒体は。

「たぶんTwitter」

――応募に際しどのような準備をしましたか。具体的になにをしましたか。

「すきほうだいに書きました。
下読みがない、選考委員が直接、一次から読んでくれる、という特異なシステムが支えになった

――受賞作を書きあげるにはどのくらいかかりましたか。

「半年です。
まず、絵を描くこと **) からはじめました」

――そうじゃないかと思っていました。
受賞までに書いた枚数を通算すると、どれくらいですか。

「長編を八本書いているので、五百かける八で四千枚くらい」

――受賞の連絡がきたときなにをしていましたか

「ちょうど夕ご飯どきだったんです。
買ってきた牛丼のふたをあけたら、電話が鳴って」

――受賞のしらせをきいて、最初にいった言葉は。

「なんでしょう。おぼえてないなあ。
ありがとうございます、かな」

――今後の野望をおきかせください。

「まず、短編集をだす。
そして、消えないようにがんばる」

――これから創元SF短編賞をめざすかたがたにメッセージを。

たがをはずしましょう

――さて。ここからは踏み絵みたいな質問です。
SFを愛していますか。

「もちろん」(きっぱりと)


――SFとの出会いはいつ、どの作品ですか。

「小学一、二年のころに読んだ、SFこども図書館の『星からきた探偵』。
ハル・クレメント『20億の針』のジュブナイル版です」

――いちばんすきなSF小説は。

「一本だけか。むずかしいなあ。
それでは、神林長平『あなたの魂に安らぎあれ』を」


ここで東京創元社の若手編集者F嬢が入室。
「すみません。時間押してるんで、てばやくおねがいします
いそいで空木さんのインタビューに移る。


第二回創元SF短編賞佳作 空木春宵さんにインタビュー

――小説を書こうと思ったきっかけは。

「書きはじめようと思ったのは遅いんですよ。高校生になってからでした。
江戸川乱歩『孤島の鬼』をよんだのがきっかけです」

――子供のころから作家になりたかったわけではないんですね。
なにになりたかったんでしょう。

「警官です。いま考えるとふしぎでしょうがない。
大人になってからは職務質問ばかりされてます」

――尊敬する作家は。

「江戸川乱歩、久生十蘭」

――座右の書は。

「『孤島の鬼』か、日下さんが編まれた『久生十蘭集』」

――小説を書くときに気をつけていることってなんですか。

たばこを切らさないことです」

――あなたにとって小説を書くってなんでしょう。

「緊張しいで引っこみ思案な自分としては、自己表現の手段です。
それと自己顕示欲。
そして、気持ちいいからかな」

――筆暦は。

「九年」

――投稿暦は。

「二年」

――今回、創元SF短編賞に応募されましたが、長編と短編ではどちらがとくいですか。

「どっちもだめなんです。中編になってしまう」

――この賞をえらんだ理由は。

「日下さんが選考委員をやってらしたからです。
『怪奇探偵小説傑作選』や『怪奇探偵小説名作選』にとても影響をうけました。
それから、自分の書くジャンル的に、ほかの賞には出せないなあ、と」

――この賞を知った媒体は。

「年刊傑作選の巻末です」

――応募に際しどのような準備をしましたか。具体的になにをしましたか。

たばこをきらさないようにしていました。
ほかには、もちろん古典文学研究とか、下調べには時間をかけました」

――受賞作を書きあげるにはどのくらいかかりましたか。

「構想から完成まで、半年です」

――受賞までに書いた枚数を通算すると、どれくらいですか。

「すくないんですよ。千枚いってないと思います」

――受賞の連絡がきたときなにをしていましたか

「ちょうどトイレにはいっていました」

――受賞のしらせをきいて、最初にいった言葉は。

「トイレからあわてて出たこともあり、そうですかさようですか、としか、とっさにはいえませんでした。
それから、ありがとうございます、と」

――今後の野望をおきかせください。

「自分の本を、だれかの本棚の片隅にひっそりと収めてもらうこと」

――これから創元SF短編賞をめざすかたがたにメッセージを。

体はだいじにしてください
ぼくも、応募作執筆中に体調をくずしました」

――それはとても重要なことです。作家は体が資本ですから。
さて。ここからは踏み絵質問です。
SFを愛していますか。

「はい」

――SFとの出会いはいつ、どの作品ですか。

「手塚治虫『火の鳥 復活編』」

――いちばんすきなSF小説は。

「『五色の舟』」


ずいぶん駆け足になってしまった。
時間押せ押せでインタビュー終了、つづいてイベント会場のベルサール飯田橋へ移動する。

ひきつづき『結晶銀河』刊行記念 第2回創元SF短編賞贈呈式+トークイベント詳細レポートを、どうぞ。

*) 2011/12/26収録「堺三保&菊池誠 底抜けSF実験室#3 2011年科学&SFニュース」において、
上の写真をとりあげていただいたのですが、そのさい:
「酉島さんって夫婦(めおと)作家なんですね。あたらしいなあ」
と、誤解されてしまいました。
松崎の表現がよくなかった。おわびして訂正いたします。
けっして夫婦作家ではありません。

**) 受賞作「皆勤の徒」には6枚のイラストがそえられている。