『代書屋ミクラ』刊行記念企画 恒例・ボツネタ公開



#本稿は光文社・担当編集者たち了解のもとに公開されています。

世に出た結果の影には、その何倍ものボツ作品がある。
もちろん、埋もれさせるにはあまりにもったいないものも存在する。
恒例、ボツネタ救済企画。


1、帯の文言

まず、現行の帯はこのとおり:

<おもて>
23歳男子、脳内失恋数えきれず
 依頼人たちは、曲者揃いの難アリ系。
 彼らの研究論文の完成めざし、日々奔走。
 救いは、なぜか仕事のたびに出会える素敵な女性。
 そんなミクラに、しあわせは訪れるのか?

 心ゆるくなる連作短編集。」

<うら>
「北の街・蛸足大学を卒業したミクラは、先輩に拾われて「代書屋」稼業を始めたばかりの見習いだ。その内容は、研究者のため、彼らの書く論文を代わりにまとめること。新しい依頼が舞いこむたびに、なぜか素敵な女性と出会ってしまうミクラだが、依頼者は曲者揃いで内容も厄介なものばかり。果たして、恋も仕事も成功できるのか? 第1回創元SF短編賞を受賞した新鋭の、ユル〜くてほっこりした物語。」

ところがところが。
「これからよむひとには、なにがなんだかわからない」という理由で、ボツとなったバージョンが存在した:

<おもて>
23歳男子、脳内失恋数えきれず
 他人のために論文書くのもたいへんだし、
 仕事も女子も、手にあまりすぎ。
 だいじょうぶか、ミクラ?

 心ゆるくなる連作短編集。」

<うら>
「北の街・蛸足大学を卒業したミクラは、先輩・トキトーさんに拾われて「代書屋」稼業を始めたばかりの見習いだ。困った法律のおかげで研究者たちは大量の論文を発表しなければならない。その論文を代わりにまとめる仕事だ。新しい依頼がくるたびなぜか、素敵な女性と出会ってしまうミクラだけど、依頼者は曲者揃いなうえに、内容も厄介なものばかり。お願いします、僕のかみさま・アカラさま、僕に恋を、しあわせを――。
第1回創元SF短編賞を受賞したセンスの光る新鋭の、ユル〜くてほっこりした物語。」


このバージョン、担当編集者たちの作品への愛あふれるすばらしいしあがりで、なによりこっちのほうがほうがぜったいおもしろい。松崎はこれのドラフトみたとたん爆笑しましたよほんとに。
でも。冷静になってみればたしかに、この本をはじめて手にとったひとには意味不明だろう。
と、いうわけで。購入してくださったみなさま、読了後はぜひ、この帯ボツバージョンをながめてみてください。そのよさがきっとわかるでしょう。


2、画像

じつは松崎、今回の単行本ではちょっとだけデザイン協力をしている。
そのうちのひとつが、本文中で章立てにつかわれているアイコンみたいなちいさな画像。
ぜんぶで5種類あるけれど、もちろんこれにもボツになったバージョンが存在した:

<第三話「裸の経済学者」用>
作家・松崎有理公式ホームページ あんぱん
「あんぱん、っていうか。まんじゅう」
「和菓子かな」
「うめぼし」
と、いう理由でボツ。
自信作だったのに。

<第四話「ぼくのおじさん」用>
作家・松崎有理公式ホームページ あんぱん
だよ、これ」
えっ。どうして。どこからどうみても、さつまいもでしょ。
と、いったけどやっぱりボツ。

白黒のみの極小画像で情報を伝えることのむずかしさを実感。よい経験になりました。

#ほかのデザイン協力箇所については、本のなかをじっくり探してみてください。

2013/09/14 公開