デザイン論講義の宿題をさらしてみる 最終回



宿題をさらすシリーズも、ついに最終回。
その1その2その3も、よかったらみてください。

設問:

「この講義を半年間、受講してまなんだことを800字以内で論述しなさい」

今回も、けっこうまじめです。笑いをとるのはあきらめました



デザイン論講義でまなんだこと  松崎有理

『理科系の作文技術』 *) という本がある。研究者・技術者が仕事のために文章をかくときの教科書であり、すでに古典だ。

この本からは多くを学んだが、もっともだいじな点は次のふたつだと考えている。
ひとつは「理科系の文章には、よけいな言葉を一語たりとも入れるな」、もうひとつは「理解できるように、かつ、誤解できないようにかけ」だ。

ここでわたしはデザインとの共通点を指摘したい。

よけいな言葉をひとつひとつ取りのぞいて、最後に残るものが理科系の文章ならば、よけいな線をひとつひとつ取りのぞいて、最後に残るものがデザインなのだと思う。
そして、読むひとがまったく誤解できないのが理科系の文章であり、みるひとがけっして混乱しないのがデザインであると思う。

この講義では多くのものを得た。いちばんの収穫は、独学ではなかなか身につかないプロのデザイナとしての姿勢を学べたことだろう。デザインには目的がある。芸術家は自分のために創作するが、デザイナは他人のために問題を解決する。

わたしは自分が芸術家ではなくデザイナであることを強く自覚した。なぜならデザインとはサービス業であり、わたしの仕事にたいする基本姿勢もサービス業だからである。

また、この講義を通じて、デザイナとして世界をみる目を多少なりとも養えたと思う。
身の回りのものはだれかがデザインしたプロの仕事だ。なにかをみるたび、制作者の意図を読もうとし、自分ならどうつくるかを考える。自然物も、つぎの仕事に生かせないかと考えながら観察し、メモをとる。いつか使うときのために。

最後に感想を。
仕事が忙しい時期で、締切がふたつ重なる週もあったけれど、それでも休まずに通ったのはなにより講義がおもしろかったからです。半年間ありがとうございました。

(734字)

*) 木下是雄(1981)中公新書。