デザイン論講義の宿題をさらしてみる その1



じつは松崎、この秋から地元某大学の社会人枠でデザイン論を受講している。
講師は現役ばりばりのグラフィックデザイナ。とてもぜいたく、かつユニーク。
講義そのものもおもしろいのだが、出される宿題もまたユニークだ。
ビジュアルデザインの講義なのに、なぜか論述が多い
きっと、デザイナに必須のプレゼンテーション能力を試されているのだな、と解釈している。
もちろん松崎はこれでもものかきのはしくれだから、課題には毎回本気であたっている。結果、それなりにいいものが書けている、と思う。
よって、これから何回かにわたり
宿題となった設問と、たいする松崎の解答を
提出期限をすぎたものから順次、アップしていくつもり。

さて、第一回。
設問:

グレゴリー・コルベール (Gregory Colbert)のDVDをみて、
時間と空間について考察し、800字以内で論述しなさい」

講義中にみせられたのは、一時間ほどもある長編映像だったが
こちらの動画で、雰囲気はじゅうぶんわかってもらえるだろう:




映像をみおわった松崎の感想:

「しまった。これ、わけわかんない

唯一理解できたのは、このひとは象がすき、ということだけだ。 *)
とりあえず、象について書けばまちがいはないらしい。しかし、それだけでは時間と空間については語れない。

相手の陣地では勝てない、と思ったら自分の陣地にもちこむのが勝負の鉄則。
だからDVDの内容はとりあえず無視し、すきかってに書くことにした。
(文章中のかぎかっこ内部は、DVDのなかで出現した台詞を松崎が多少加工したものです):



『象とヒトと時間と空間』  松崎有理

「この世のはじまりには、大空いっぱいに翼を持った象がいた」

 約五千万年前に出現した最初の象は、体のちいさな、鼻も短いバクのようないきものだった。アフリカからアジア、ヨーロッパへと分布域を広げていく過程で体躯が劇的に大型化、長い鼻を獲得し、シャベルのようなあごをもつもの **) や下向きに牙がはえたもの***) など多様な形態の種に分岐する。象たちはひじょうに成功した分類群だった、むかしは。

 現在の象は、アジアとアフリカにいる二種だけだ。

「どうか守りたまえ、象たちよ。ぼくの願いをききいれてください」

 約五百万年前に出現した最初のヒトは、全身をおおう体毛と小さな脳をもった猿のようないきものだった。アフリカからアジア、ヨーロッパへと分布域を広げていく過程で脳は劇的に大型化、体毛も失い、道具をつくるものや火をつかうものや死んだ仲間を埋葬して花をたむけるものなど多様な文化をもつ種に分岐する。ヒトたちはひじょうに成功した分類群だった、むかしは。

 現在のヒトは、一種だけだ。ただし世界中に分布している。

「なにもかもおぼえているのに、愛した記憶はまったくない」

 ヒトと象とのかかわりには長い歴史がある。数千年前から、ヒトは象を飼い慣らしてきた。しかし、家畜化はできない。ヒトの手で繁殖をコントロールし、育種選択するには生活環が長すぎるからだ。象は長寿だ。飼育下での寿命はヒトに匹敵する。

 ここでひとつの提案ができる。長寿研究のモデル生物として象をつかうのはどうだろう、と。

 医学実験にはマウス・ラットをつかうのが定番である。生活環が短いため、はやく結果が出せて便利なのだ。しかし、短命な動物をいくら研究したところで長寿の秘密はわからない。だから象を、せめて象の細胞をつかって寿命研究をしたら、なにか画期的な発見ができるのではないだろうか?

(757字)

*) 「なんという短絡思考。」(@『ずんだ文学 第三号』
**) 松崎の妄想ではありません。Amebelodon
***) これも松崎の妄想ではありません。Deinotherium