ポルトガルに行かなくてもボラ・デ・ベルリンを食べられるのか

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作成日:2019/02/27 最終更新日:2020/02/20 かいたひと:松崎有理


ポルトのカフェにて。うしろのほうに写っているでっかい丸い揚げ菓子がボラ・デ・ベルリンです。
ひとことでいえば卵黄クリームはさみドーナツ。
ポルトガルには素朴おいしいお菓子がいろいろあるのですが、松崎がなにより気に入ったのはこのボラ・デ・ベルリン。ポルトガルではどのカフェにもスーパーにも置かれていて、1ユーロ前後で買えちゃう気軽さも魅力でした。
ところがいっぽポルトガルを出ると、おなじものはみかけません。
以下は松崎がボラ・デ・ベルリンを探し求めた記録です。つまりボラ・デ・ベルリン・クエスト
ボラ・デ・ベルリンずきなかたがどれだけ存在するかわかりませんが、なにかの参考になれば。

【もくじ】
まずはマカオに行ってみた
カステラ・ド・パウロ(京都)にチャレンジ
ドース・イスピーガ(東京)にきいてみた
よく似たものを探す
写真をならべて、ボラ・デ・ベルリンを偲ぶ

まずはマカオに行ってみた

なにせ1997年までポルトガルであった街。
エッグタルトという、パステル・デ・ナタのいとこみたいなお菓子も有名です。
ここならボラ・デ・ベルリンもあるにちがいない、と踏んで、飛行機でおよそ4時間。マカオの地へ降り立ちました。
ところが。

マカオ唯一のボラ・デ・ベルリン

Pastelaria Caravela 金船餅屋にて、マカオで(たぶん)唯一のボラ・デ・ベルリンを食す。クリームの味がちがう。甘くないしあっさり風味。たぶん牛乳の味がちがうせいでしょう。


けっきょく、四日間の滞在で松崎が発見できたのはこの1か所だけ。
しかもポルトガルのものとは味がちがっています。
ボラ・デ・ベルリンはマカオではほぼ絶滅した。そう結論せざるを得ませんでした。

カステラ・ド・パウロ(京都)にチャレンジ

日本へもどって。
毎月25日限定でボラ・デ・ベルリンをつくっている、京都のポルトガル菓子店です。
25日、というのがくせもの。このお店が隣接する北野天満宮の縁日にあたります。
ふだんからただでさえひとが多いのに:


こんな大行列ができてしまっています。
しかも、このお店は事前の取り置き不可です。
よって、手に入れたいなら前日から京都入りして並ぶしかありません。
東京にすむ人間にとっては現実的ではありません。

ドース・イスピーガ(東京)にきいてみた

ドース・イスピーガ

ドース・イスピーガの店がまえ。


東京に戻りまして。
おいしいポルトガル菓子をおひとりでせっせとつくってくださっている、ドース・イスピーガの店主さんに質問してみました:
「ボラ・デ・ベルリンをお出しになる予定はありますか」
「それがですね。(とてもとても申しわけなさそうに)この場所、消防の関係で揚げ菓子はやらないほうがいいかな、って思ってて。ごめんなさいね」
そんな事情があるのではあきらめるしかありません。
ドース・イスピーガさんがボラ・デ・ベルリンをつくったらすごいおいしくなる予感がするのですけど。

よく似たものを探す

というわけで。
入手ハードルがあまりにも高いので、かわりになるようなお菓子を探してみました。

マラサダ

ポルトガルのマデイラやアゾレス諸島で食べられているお菓子。
ハワイへのポルトガル移民が売り出したことで有名になりました。
写真は、ホノルルコーヒーのマラサダ。
味は、さっぱりした仕上がり。しかもマラサダのばあい、クリームなしがスタンダードです。

ホノルルコーヒーのマラサダ

酸味のつよいコナコーヒーによく合います。

ベルリナー

ドイツのドーナツ。たぶんこちらが本家で、ボラ・デ・ベルリンはそのバリエーションみたいな位置づけです。
写真はベッカライカフェ・リンデさんのもの。
見た目はかなり似ています。しかし、なかはクリームではなくラズベリージャム。表面は粉砂糖です。ドイツらしい質実剛健な味で、これはこれでおいしいのですがボラ・デ・ベルリンではありません。

リンデのベルリーナー

なかにジャムをつめるタイプ。

ミスタードーナツのカスタードクリーム

カスタードクリーム(公式サイト)
ごらんのようにカスタードはかなり少なめ。甘さもひかえめであっさりしています。

ミスドのカスタードクリーム

どの店舗でも扱っているわけではないようです。松崎は三店目でようやく入手成功。

赤丸ベーカリーのクリームドーナツ

松崎の家の近所にある老舗パン屋さん、赤丸ベーカリーの商品。
ビジュアルは激似です。しかしあたりまえですが、味はちがいます。

赤丸ベーカリーのクリームドーナツ

でも味は微妙にちがうんだよね。そりゃあ、赤丸さんはボラ・デ・ベルリンつくったつもりじゃないんだから当然。

写真をならべて、ボラ・デ・ベルリンを偲ぶ

というわけで。
ほんもののボラ・デ・ベルリンははるか遠くポルトガルの空の下だけにあります。
2018年秋の旅行から写真を選んで、ここにならべますね。
あっわかったぞ、こういうのをサウダーデっていうんだ。

Confeitaria do Bolhão

ポルトの老舗、Confeitaria do Bolhão で購入したボラ・デ・ベルリン。松崎的ベスト。


ボラ・デ・ベルリン

バルセロス老舗菓子店 Pastelaria Colonial のボラ・デ・ベルリン。いっしょに写っているのはパステル・デ・ナタとケイジャーダです。


ボラ・デ・ベルリン

ポルトの老舗、Confeitaria Sicalのボラ・デ・ベルリン。価格に注目。


ボラ・デ・ベルリン

石の町モンサントの景色とボラ・デ・ベルリン。ミネラルウォーターはLUSO。


ボラ・デ・ベルリン

パステル・デ・ナタの名店パステイス・デ・ベレンでわざわざボラ・デ・ベルリンを食べる。なお、となりの卵ロール Torta enrolada 1.4ユーロも絶品でした。


ボラ・デ・ベルリン

老舗カフェ、ア・ブラジレイラ Café A Brasileira 系列のお店のショーケースにならぶボラ・デ・ベルリン。チョコ味とかあります。


ボラ・デ・ベルリン

さいごのさいご、リスボン空港でもしつこくボラ・デ・ベルリンを買って帰りの飛行機に乗りこんだのでした。

 

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カジノへ行かないマカオ〜ポルトガルのおもかげを求める旅

マカオを舞台にした拙作の試し読みです:
『5まで数える』表題作冒頭部分試し読み

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単行本、四六判 264ページ
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2、「やつはアル・クシガイだ――疑似科学バスターズ」ゾンビは一体も出てきません ★全文試し読み
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4、「砂漠」手錠でつなぎあわされた7人の凶悪少年犯罪者たちが飛行機事故で砂漠に放り出される ★冒頭試し読み
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●内容について、くわしくは筑摩書房内特設ページ、および当サイト内特設ページをごらんください。
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